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独占禁止法

不当な取引制限

第3条

事業者は、私的独占又は不当な取引制限をしてはならない。

第2条第6項

この法律において「不当な取引制限」とは、事業者が、契約、協定その他何らの名義をもつてするかを問わず、他の事業者と共同して対価を決定し、維持し、若しくは引き上げ、又は数量、技術、製品、設備若しくは取引の相手方を制限する等相互にその事業活動を拘束し、又は遂行することにより、公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限することをいう。

第2条第6項の行為要件

不当な取引制限の成立要件のうち、「他の事業者と共同して……相互にその事業活動を拘束し、又は遂行すること」は、行為要件と呼ばれています。 行為要件が充足されるには、事業者間の意思の連絡が必要ですが、この意思の連絡は、黙示のものでよいとされています。例えば、当事者間に価格の引き上げを一緒に行う旨の明示の意思の連絡がなくとも、暗黙のうちに一緒に行うという共通認識が形成されれば、意思の連絡ありとされます。

また、公正取引委員会や裁判所の実務では、意思の連絡について直接証拠がなくとも、間接証拠(状況証拠)の積み上げによる立証が認められています。

第2条第6項の効果要件

不当な取引制限の成立要件のうち、「公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限すること」は、効果要件と呼ばれています。

不当な取引制限における「競争を実質的に制限すること」(競争の実質的制限)について、判例は「競争自体が減少して、特定の事業者又は事業者集団がその意思で、ある程度自由に、価格、品質、数量、その他各般の条件を左右することによって、市場を支配することができる状態をもたらすこと」としています(東京高判昭和26年9月19日(東宝・スバル事件)、東京高判昭和28年12月7日(東宝・新東宝事件))。

また、近年、「一定の取引分野における競争を実質的に制限するとは、当該取引に係る市場が有する競争機能を損なうことをいい、本件基本合意のような一定の入札市場における受注調整の基本的な方法や手順等を取り決める行為によって競争制限が行われる場合には、当該取決めによって、その当事者である事業者らがその意思で当該入札市場における落札者及び落札価格をある程度自由に左右することができる状態をもたらすことをいう」とした判例も出されています(最判平成24年2月20日)。

実際の競争の実質的制限の有無は、私的独占におけるのと同様、まず当該独占禁止法違反の疑いがある行為が行われている「一定の取引分野」を画定し(市場画定)、①当該市場における行為者のシェアや、②行為者間で従来競争がなされてきたか、③ライバル事業者の市場シェアとの差の大きさ、④ライバル事業者の供給余力、⑤商品の差別化の程度、⑥輸入・新規参入の障壁の有無・大小、⑦隣接市場からの競争圧力等、諸般の要素を総合考慮して判断されます。

また、「公共の利益に反して」とは、判例によると、「原則としては同法(注:独占禁止法)の直接の保護法益である自由競争経済秩序に反することを指すが、現に行われた行為が形式的に右に該当する場合であっても、右法益と当該行為によって守られる利益とを比較して、『一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進する』という同法の究極の目的に実質的に反しないと認められる例外的な場合を右規定にいう『不当な取引制限』行為から除外する趣旨」であるとされています(最判昭和59年2月24日(石油カルテル事件))。

不当な取引制限 独占禁止法