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独占禁止法

競争の実質的制限

1)総論

独占禁止法が規制する行為類型のうち、私的独占、不当な取引制限や企業結合規制において、「一定の取引分野における競争を実質的に制限する」という要件が挙げられています。この要件は、競争の実質的制限と呼ばれることが多いです。

競争の実質的制限の要件は、独占禁止法が定める主な違反類型に該当するか否かの重要な要件となります。

2)競争の実質的制限とは

ア 不当な取引制限における競争の実質的制限

ここで、競争の実質的制限とは何かが問題となりますが、判例は「競争を実質的に制限するとは、競争自体が減少して、特定の事業者又は事業者集団がその意思で、ある程度自由に、価格、品質、数量、その他各般の条件を左右することによって、市場を支配することができる状態をもたらすこと」としています(東宝・スバル事件・東京高判昭和26年9月19日、東宝・新東宝事件・東京高判昭和28年12月7日)。

また、近年、「一定の取引分野における競争を実質的に制限するとは、当該取引に係る市場が有する競争機能を損なうことをいい、本件基本合意のような一定の入札市場における受注調整の基本的な方法や手順等を取り決める行為によって競争制限が行われる場合には、当該取決めによって、その当事者である事業者らがその意思で当該入札市場における落札者及び落札価格をある程度自由に左右することができる状態をもたらすことをいう」とした判例も出されています(最判平成24年2月20日)。

イ 私的独占における競争の実質的制限

さらに、近時、私的独占における競争の実質的制限について、「競争を実質的に制限すること、すなわち市場支配力の形成、維持ないし強化」と表現した判例が出されました(NTT東日本事件・最判平成22年12月7日)。

ウ 競争の実質的制限の判断における考慮要素

実際に競争の実質的制限の有無は、まず当該独占禁止法違反の疑いがある行為が行われている「一定の取引分野」を画定し(市場画定)、①当該市場における行為者のシェアや、②行為者間で従来競争がなされてきたか、③ライバル事業者の市場シェアとの差の大きさ、④ライバル事業者の供給余力、⑤商品の差別化の程度、⑥輸入・新規参入の障壁の有無・大小、⑦隣接市場からの競争圧力等、諸般の要素を総合考慮して判断されます。

上記の諸要素については、公正取引委員会の定める企業結合ガイドラインに詳細が記載されています。