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消費者契約法

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  • 私の経営する宝飾品店で、一般的な小売価格が10万円程度であるにもかかわらず、一般市場価格の趣旨で40万円の値札を付け、実際に販売する際にはお買い得であると説明のうえ、30万円で販売したネックレスについて、購入されたお客様から当該ネックレスの売買契約を取り消したいとの申入れがありました。この売買契約の効力はどうなるのでしょうか。

    私の経営する宝飾品店で、一般的な小売価格が10万円程度であるにもかかわらず、一般市場価格の趣旨で40万円の値札を付け、実際に販売する際にはお買い得であると説明のうえ、30万円で販売したネックレスについて、購入されたお客様から当該ネックレスの売買契約を取り消したいとの申入れがありました。この売買契約の効力はどうなるのでしょうか。

    弁護士の回答

    お客様の上記申入れにより当該売買契約は取り消されますので、代金をお客様に請求することはできません。

    本件ネックレスのような宝飾品の場合、買主にとって一般的な小売価格がいくらであるかはその商品を購入するか否かの判断にあたり通常影響を及ぼすべき「重要事項」(消費者契約法4条1項、同条4項)といえます。このような「重要事項」につきお店側が事実と異なることを告げ、お客様がそれを事実であると誤認して本件ネックレスを購入された場合には、お客様は当該売買契約を取り消すことができます(消費者契約法4条1項。参考:大阪高裁平成16年4月22日判決)。

  • 消費者契約とは何ですか。

    消費者契約とは何ですか。

    弁護士の回答

    消費者契約法では、消費者契約とは「消費者と事業者との間で締結される契約」であり、消費者とは「個人(事業として又は事業のために契約の当事者となる場合におけるものを除く。)」、事業者とは「法人その他の団体」及び「事業として又は事業のために契約の当事者となる場合における個人」と定義しています(同法2条)。

    なお、「事業」とは、同種の行為が反復継続してなされていればよく、営利目的であるか否かを問いません。

  • 一般的に、携帯電話の通信サービス契約では、契約後2年間に料金プランを変更したり 、プランを解約する場合、携帯電話会社に解除手数料を支払わなければならないことにな っています。契約してすぐに変更や解約をすると、高額の解約手数料がとられることにな りますが、これは法律に違反しないのでしょうか。また、契約後2年が経過し、1回以上更 新をした後に解約をする場合の手数料をとることも、法律違反ではないでしょうか。

    一般的に、携帯電話の通信サービス契約では、契約後2年間に料金プランを変更したり 、プランを解約する場合、携帯電話会社に解除手数料を支払わなければならないことにな っています。契約してすぐに変更や解約をすると、高額の解約手数料がとられることにな りますが、これは法律に違反しないのでしょうか。また、契約後2年が経過し、1回以上更 新をした後に解約をする場合の手数料をとることも、法律違反ではないでしょうか。

    弁護士の回答

    裁判において、携帯電話の利用契約の解約手数料を定めた条項につき、消費者契約法に違反して無効であるとの主張がなされましたが、その裁判では、解約手数料を定めた条項も有効である、との判断がなされています(大阪高裁判決平成25年7月11日)。

    この点に関し、消費者と事業者の間の情報格差を踏まえ、消費者の利益を守るため、消費者契約法という法律が定められていますが、上記判決では、解約手数料を定めた契約条項は、同法9条及び10条に違反せず有効である、との判断がなされています。以下では、①消費者契約法9条、②同法10条に関し、それぞれ説明します。

    ① 消費者契約法9条について
    消費者契約法9条1号は、消費者からの契約解除による損害賠償額や違約金を予め定める条項は、当該消費者契約と同種の消費者契約に伴い事業者に生ずるべき「平均的な損害」を超える場合、その超えた部分について無効となる、と定めています。
    例えば、解除手数料が2万円だと契約に定められていても、解除により事業者に生ずべき「平均的な損害」が1万5000円であると認定されれば、それを超える5000円部分は無効になり、支払う必要はない、ということになります。

    上記裁判例でも、携帯電話を利用した3G通信サービスにつき解約手数料が定められており、解約手数料の金額が、消費者の解除により事業者に生じる「平均的な損害」を超えるものだったか否かが争点の一つになりました。
    大阪高裁は、「平均的な損害」を算出するに当たり、解除がなければ携帯電話会社が得られたはずの利益(これを「逸失利益」といいます。)が、「平均的な損害」であるとしました。そして、消費者が支払った解約手数料は、この「平均的な損害」を超えないから、解約手数料を定めた契約条項は、消費者契約法9条1号に違反しない、と判断したのです。また、1回以上更新した後に解約する場合の解約手数料についても、「平均的な損害」は携帯電話会社の逸失利益であるとし、更新後の解約手数料についても消費者契約法9条1号に違反しないと判断しています。

    ② 消費者契約法10条について
    次に、消費者契約法第10条は、消費者契約の条項のうち、民法の信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものは無効であるとしています。
    上記判決では、更新前及び更新後の解約手数料の特約が、消費者契約法10条の信義則違反に該当するかにつき、携帯電話会社から消費者に対し、解約手数料の十分な説明が行われていること、消費者も通常はこれを理解した上で契約を締結していることから、事業者と消費者との間で看過できないような情報の質や量、交渉力の格差があるとは言えないため、解約手数料を定めた契約条項は、消費者契約法10条の信義則違反には該当しないとしました。

    以上のとおり、上記大阪高裁判決は、更新前の解約手数料についても、更新後の解約手数料についても、消費者契約法違反にはならない、と判示したのです。

  • 私が借りているマンションの賃貸借契約において、以下の内容の敷引特約(契約締結から明渡しまでの経過年数に応じた額を本件保証金から控除する特約)が定められていますが、これは法律に違反しないのでしょうか。 ※敷引特約の内容 賃借人が賃貸人に対し、契約締結と同時に40万円の保証金を差し入れ、賃貸借終了時の経過年数に応じ、下記の通り保証金から控除して賃借人に返還する。 経過年数  控除額 1年未満  18万円 2年未満  21万円 3年未満  24万円 4年未満  27万円 5年未満  30万円 5年以上  34万円

    私が借りているマンションの賃貸借契約において、以下の内容の敷引特約(契約締結から明渡しまでの経過年数に応じた額を本件保証金から控除する特約)が定められていますが、これは法律に違反しないのでしょうか。 ※敷引特約の内容 賃借人が賃貸人に対し、契約締結と同時に40万円の保証金を差し入れ、賃貸借終了時の経過年数に応じ、下記の通り保証金から控除して賃借人に返還する。 経過年数  控除額 1年未満  18万円 2年未満  21万円 3年未満  24万円 4年未満  27万円 5年未満  30万円 5年以上  34万円

    弁護士の回答

    判例において、敷引特約が消費者契約法に違反して無効であるとの主張がなされましたが、最高裁は、諸般の事情に照らし、敷引金の額が高額に過ぎると言えるときには、特段の事情がない限り、敷引特約は無効であるとの判断を行いました(最判平成23年 3月24日)。

    上記判例において、賃借人は、上記特約は消費者契約法10条(民法等に比して消費者の義務を加重し、かつ、民法の信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものは無効と定めています。)に違反して無効であると主張しました。

    それに対し、最高裁は、「消費者契約である居住用建物の賃貸借契約に付された敷引特約は、①当該建物に生ずる通常損耗等の補修費用として通常想定される額、②賃料の額、③礼金等他の一時金の授受の有無及びその額等に照らし、敷引金の額が高額に過ぎると評価すべきものである場合には、当該賃料が近傍同種の建物の賃料相場に比して大幅に低額であるなど特段の事情のない限り、信義則に反して消費者である賃借人の利益を一方的に害するものであって、消費者契約法10条により無効となると解するのが相当である。」と判示しました。

    このように、上記①~③に照らして高額に過ぎる敷引特約は原則として無効であるとした上で、当該事案においては、「本件特約は、契約締結から明渡しまでの経過年数に応じて18万円ないし34万円を本件保証金から控除するというものであって、①本件敷引金の額が、契約の経過年数や本件建物の場所、専有面積等に照らし、本件建物に生ずる通常損耗等の補修費用として通常想定される額を大きく超えるものとまではいえない。

    また、②本件契約における賃料は月額9万6000円であって、本件敷引金の額は、上記経過年数に応じて上記金額の2倍弱ないし3.5倍強にとどまっていることに加えて、③上告人(注:賃借人)は、本件契約が更新される場合に1か月分の賃料相当額の更新料の支払義務を負うほかには、礼金等他の一時金を支払う義務を負っていない。

    そうすると、本件敷引金の額が高額に過ぎると評価することはできず、本件特約が消費者契約法10条により無効であるということはできない。」として、敷引特約は有効であるとしました。

    上記の判例を踏まえると、賃借人の負う経済的負担との関係で、敷引額が高額にすぎると言えない場合には、敷引特約が有効になる余地もある、と考えられます。

  • A大学からの合格通知を受け取った際、入学金と授業料を先に支払いました。A大学では、他大に進学した場合でも入学金や納付済みの授業料は返還しないとの特約がありました。しかし、私はB大学も並行して受験しており、そちらの合格発表はまだです。もしB大学に合格してそちらに入学することになった場合、A大学から入学金や授業料は返してもらえないのでしょうか。

    A大学からの合格通知を受け取った際、入学金と授業料を先に支払いました。A大学では、他大に進学した場合でも入学金や納付済みの授業料は返還しないとの特約がありました。しかし、私はB大学も並行して受験しており、そちらの合格発表はまだです。もしB大学に合格してそちらに入学することになった場合、A大学から入学金や授業料は返してもらえないのでしょうか。

    弁護士の回答

    この点につき、判例は、入学を取りやめた場合には入学金の返還を求めることはできないが、大学入学日(41日)以前に入学を取りやめた場合、納付済みの授業料については、返還を求めることができる、との判断を下しました(最判平成18年 11月27日民集60巻9号3437頁。なお、この日は、授業料不返還特約についての同趣旨の判決が最高裁から複数出されています。)。

    上記判例は、まず、入学金によって、受験生は、大学に入学しうる地位又は学生たる地位を取得するという対価を享受しているから、入学金納付後に入学を辞退しても、その返還を求めることはできない、と述べました。

    次に、この判例では、授業料の不返還特約が消費者契約法91号(消費者からの契約解除による損害賠償額や違約金を予め定める条項は、当該消費者契約と同種の消費者契約に伴い事業者に生ずるべき「平均的な損害」を超える場合、その超えた部分について無効となる、と定めています。)に違反しないか、この場合の「平均的な損害」とは何かが争点となりました。

    この点につき、上記判例は、331日(入学日の前日)までに入学を辞退した場合、すなわち在学契約を解除した場合には、原則として、大学側には、学生により解除による損害は発生しないとしました。

    したがって、「平均的な損害」は0円ということになり、納付済みの授業料全額につき、不返還特約は全て無効となるため、大学は学生が納付した授業料全額を返還しなければならない、としました。

    一方で、41日(入学日)以降に契約を解除した場合、原則として、学生が納付した授業料は、それが初年度に納付すべき範囲内のものにとどまる限り、大学に生ずべき平均的な損害を超えず、不返還特約はすべて有効となる、としています。

    以上の判例からすると、上記判例と同様の事案においては、在学契約の解除の意思表示が、331日までに行われた場合には納付済み授業料は全額返還されることとなる一方、41日以降に行われた場合には、原則として全額返還されないことになりますので、注意が必要です。

  • 私が借りているマンションの賃貸借契約において、賃貸借契約を更新する際は、賃料2か月分の更新料を支払う必要がありますが、この更新料の定めは、信義則に反して消費者の利益を一方的に害する規定として、消費者契約法10条に該当して無効になりませんか。なお、更新は1年ごとになっています。

    私が借りているマンションの賃貸借契約において、賃貸借契約を更新する際は、賃料2か月分の更新料を支払う必要がありますが、この更新料の定めは、信義則に反して消費者の利益を一方的に害する規定として、消費者契約法10条に該当して無効になりませんか。なお、更新は1年ごとになっています。

    弁護士の回答

    判例において、質問と同様の更新料の特約が消費者契約法10条により無効である、との主張がなされましたが、最高裁は、更新料の額が高額に過ぎるなどの特段の事情がない限り、消費者契約法10条には当たらず、無効にはならないとの判断を行いました(最判平成23年 7月15日)。

    消費者契約法10条は、①民法等に比して消費者の義務を加重し、かつ、②民法の信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものは無効と定めています。

    まず、最高裁は、上記①の点に関し、「更新料条項は、一般的には賃貸借契約の要素を構成しない債務を特約により賃借人に負わせるという意味において、任意規定の適用による場合に比し、消費者である賃借人の義務を加重するものに当たる」と判断しました。

    次に、上記②の点につき、「消費者契約法の趣旨、目的(同法1条参照)に照らし、当該条項の性質、契約が成立するに至った経緯,消費者と事業者との間に存する情報の質及び量並びに交渉力の格差その他諸般の事情を総合考量して判断されるべきである。」と述べています。

    その上で、更新料の性質から、更新料の支払にはおよそ経済的合理性がないといえないこと、更新料の支払をする例が少なからず存すること、従前、更新料条項は公序良俗違反等により当然に無効とする取扱いがされてこなかったことから、更新料条項が契約書に一義的かつ具体的に記載され、更新料支払の明確な合意が成立している場合には、当事者間に情報の質及び量並びに交渉力について、看過し得ないほどの格差が存するとはいえない、と述べました。

    これを踏まえ、上記判例は、「賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載された更新料条項は、更新料の額が賃料の額、賃貸借契約が更新される期間等に照らし高額に過ぎるなどの特段の事情がない限り、消費者契約法10条にいう『民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの』には当たらない」としました。

    そして、当該事案において、更新料特約が契約書に一義的かつ明確に記載されていること、更新料が賃料の2か月分であり、更新期間も1年であることから、上記「特段の事情」は存せず、更新料特約は有効である、と判断したのです。

  • 私は、先日宿泊したホテルで宿泊手続きを行った後、ホテルのベルボーイに対し、宝石(100万円相当)の入ったバッグを預け、私の部屋まで運ぶよう依頼しました。しかし、ベルボーイが目を離した隙に、そのバッグが何者かに持ち去られてしまいました。結局、犯人は捕まりませんでした。  ホテルに弁償を求めたところ、以下のような約款があるとして、15万円以上は弁償しない、との回答がありました。 私は15万円までしか弁償を受けられないのでしょうか。なお、ベルボーイに預けた際、私は中身が宝石だとは告げていません。 <ホテルの宿泊約款> 宿泊客が当ホテル内にお持込になった物品又は現金並びに貴重品であってフロントにお預けにならなかったものについて、当ホテルの故意又は過失により滅失、毀損等の損害が生じたときは、当ホテルはその損害を賠償します。 ただし、宿泊客からあらかじめ種類及び価額の明告のなかったものについては、15万円を限度として当ホテルはその損害を賠償します。

    私は、先日宿泊したホテルで宿泊手続きを行った後、ホテルのベルボーイに対し、宝石(100万円相当)の入ったバッグを預け、私の部屋まで運ぶよう依頼しました。しかし、ベルボーイが目を離した隙に、そのバッグが何者かに持ち去られてしまいました。結局、犯人は捕まりませんでした。  ホテルに弁償を求めたところ、以下のような約款があるとして、15万円以上は弁償しない、との回答がありました。 私は15万円までしか弁償を受けられないのでしょうか。なお、ベルボーイに預けた際、私は中身が宝石だとは告げていません。 <ホテルの宿泊約款> 宿泊客が当ホテル内にお持込になった物品又は現金並びに貴重品であってフロントにお預けにならなかったものについて、当ホテルの故意又は過失により滅失、毀損等の損害が生じたときは、当ホテルはその損害を賠償します。 ただし、宿泊客からあらかじめ種類及び価額の明告のなかったものについては、15万円を限度として当ホテルはその損害を賠償します。

    弁護士の回答

    判例は、質問と同様の事例において、上記宿泊約款のただし書きは、「ホテル側に故意又は重大な過失がある場合には適用されない」との判断を行いました(最判平成15年 2月28日)。

    上記判例は、まず、ホテル側に故意又は重大な過失がある場合に、上記ただし書きにより、ホテル側の損害賠償義務の範囲が制限されるとすることは、著しく衡平を害し、当事者の通常の意思に合致しないと述べました。したがって、上記ただし書きは、ホテル側に故意又は重大な過失がある場合には適用されない、と判断したのです。

    さらに、最高裁は、宿泊客側に過失があった場合には、過失相殺がなされる可能性についても示唆しています。

    この判例を踏まえると、宿泊客が貴重品であることをホテル側に告げなかったとしても、当該貴重品が紛失した場合であって、ホテル側の故意や重大な過失があったときには、宿泊約款ただし書きによる責任制限が認められないことになります。

    もっとも、貴重品であることを告げなかったことやその他の事情に照らし、宿泊者側に過失があると認められた場合には、過失相殺により、賠償額が減額される可能性があります。